ネクト会計事務所 Blog

M&A、株式評価や無形資産評価等のValuation、企業会計税務、IFRS&USGAAP等の話題をコメントするブログです。

コーポレート・ガバナンス

大王製紙前会長、新たな融資ルートは非連結の関連会社

大王製紙前会長の新たな融資ルートとして、従来の情報に加えて「エリエール総業」と「エリエール商工」が関与していると報道されました。2社とも、非連結の関連会社を利用していました。

一般的には議決権比率が50%超は連結子会社、20%超は持分法適用会社となり、親会社の連結財務諸表に取り込まれます。ただし、49%や19%ならば連結から逃れられるのではなくて、ヒト・モノ・カネの関与の程度によっては、支配力があるとみなす、影響力があるとみなす、とするみなし基準(実質判断基準)があります。

今回は、会計上は、影響力がないとみなされていた関連会社からの融資でした。
監査でこれを判断することは簡単ではありません。

この事件に限らず、「連結の範囲」は、会計基準において財務情報の大前提を決めるとても重要な論点です。

オリンパスと大王製紙が監理銘柄に

11月10日からオリンパス(7733)と大王製紙(3880)が監理銘柄に指定されました。

[東証]監理銘柄(確認中)の指定について−オリンパス(株)−


[東証]監理銘柄(確認中)の指定について−大王製紙(株)−

四半期報告書の法定提出期限(平成23年11月14日)までに四半期報告書を提出できる見込みのない旨の開示が行われたためです。
四半期報告書を法定提出期間の経過後1か月以内(平成23年12月14日まで)に提出しなかった場合は上場廃止となります。

オリンパス、預金水増し?

日経2011年11月11日
〜第三者委調査で判明、1300億円資産計上 時価会計導入を機に〜
オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、不正な経理操作の手口が10日、同社の第三者委員会の調査で明らかになった。含み損を抱えた資産を「飛ばし」で切り離し、その一方でオリンパス本体の預金や有価証券を水増し計上する形でつじつまを合わせていた。損失を隠した資産はピークの2005年3月期末には1300億円超に達し、企業買収に絡む支出で穴埋めした。現在までに損失処理は終了したもよう。・・・
具体的には外国銀行預金、債券、「ニュー・インベストメンツ」および「GCニュービジョン・ベンチャーズ」という2つの投資ファンドへの出資金などの名目で貸借対照表に資産計上。これらは大半が実体を伴わない水増し資産とみられるが、決算書に計上し、有価証券報告書でも開示していた。・・・
オリンパスの監査は09年3月期まではあずさ監査法人が担当し、10年3月期からは新日本監査法人が担当している。

>>監査法人は銀行に対して直接確認状を出しているはずなんですが・・・。
架空だった外国銀行預金は、300〜600億円で、約半分を占めています。外国には「BANK」と名の付く会社を簡単に設立できる国もあると記憶しています。銀行と記載のあるレターヘッド、英語以外の言語による表記、なにやらいかめしいサインがあれば偽造もできます。
通常、現預金勘定の監査手続きは新人が担当します。まさか銀行の実在性・妥当性まで調べるのは限界があると思います。
というのは、金融商品会計が日本に導入された2000年からリーマンショックの2008年までは監査業界は業務拡大期であり、圧倒的に公認会計士の人数が不足していました。通常のリスクアプローチから、ベテラン会計士は、売掛金、在庫、減損対象固定資産、繰延税金資産、M&A会計などのチェックに追われていました。
そのような監査現場からすると、現預金勘定の上司によるレビューが充分であったかは疑問です。残高確認状の偽造の可能性に気が付くことは「専門家としての正当な注意義務」の範囲であったかどうか。「この忙しいときに、そんなこと言わないでくれ。」というのが上司の本音だったかもしれません。
元証券会社出身者のアイデアでしょうが、この時代に現預金を水増しするとは盲点を突かれた思いです。

大王製紙-特別調査委員会の調査報告書を公表

大王製紙は、10月27日付で創業者一族の元会長へ不透明な融資がなされた問題に対する特別調査委員会の調査報告書を公表しました。

(大王製紙)「大王製紙株式会社元会長への貸付金問題に関する特別調査委員会 調査報告書」

子会社から個人へ貸付が行われていますが、連結子会社のうち親会社が50%超の議決権を保有している子会社は3社しかないのですね。
20%〜50%が9社、20%未満が23社で、そのうち親会社以外の株主が完全に開示されているのは17社で残りの18社は未開示ということです。
上場会社としてはちょっと異常ですね。
創業者一族が親会社の役員から退任したら、親会社は子会社の支配権をなくすことになるのでしょうか?

ちなみに、調査報告書にある貸付金の振込先の「LVSインターナショナルジャパン」はカジノを運営する会社で、マカオではSandsやベネチアンを運営してます(行ったことがある人も多いと思いますが)。
カジノで100億円も使えるのかというも疑問もあるでしょうが、バカラというゲームならば使えると思います。過去にも狛江市長がバカラで30億円負けたというニュースがありましたが、まあ熱くなったんでしょうな。
しかし、どうせ負けるなら海外に金を落とさず、景気のために日本で落としてほしかったですが。

カブドットコム証券の調査報告書

カブドットコム証券の元社員によるインサイダー取引に関して、外部の弁護士等で構成された特別調査委員会の報告書が公表されています。

(カブドットコム証券)「元社員による内部者取引に関する特別調査委員会報告書について」

後半にインサイダー取引が生じた原因と背景事情について書かれていますが、なかなか興味深いです(読み物として面白いです)。特に社長の個性に由来する企業風土について触れており、メール文化(メールには必ずといっていいほどccに社長が含まれ、社長も常時チェックして時には担当上司の頭越しにメールを返信して中間管理諸侯の役割を無機能化させていた)、役職員に対する過剰な精神的コントロール等の経営手法が、上場会社であり証券業という会社経営には限界が見え始めていると指摘しています。

粉飾や不正が生じる一つの要因として「企業風土」が挙げられるときは、小規模会社ほど企業風土のかなりの割合を占める社長の個性がキーポイントとなることをあらためて確認した次第です。
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